エックス線作業主任者とは?資格を取得するメリット・難易度・活かせる業界は?

エックス線と聞くと病院にあるレントゲンを想像する人が多いのではないでしょうか。

実はエックス線は非破壊検査として、工業や建築など多岐に渡って活躍しています。

エックス線作業主任者とは、医療用以外の用途でエックス線を使用する際に現場の人々を被曝から守るための国家資格です。

ここでは、現場で働いている人以外には聞きなれない、でも人の命を守るこの資格についてご紹介していきます。

エックス線作業主任者とは?

区分国家資格
カテゴリ保安・技術
受験資格なし(免許交付は満18歳以上)
試験日程毎年3〜6回
試験方法筆記試験
試験会場各地方の安全衛生技術センター
受験料6,800円
登録・更新なし
難易度3.0
おすすめな人学生 社会人

エックス線作業主任者とは、労働安全衛生法に基づく国家資格です。

医療目的以外で定格管電圧が1000kV未満のエックス線装置を使用する場合、エックス線作業主任者免許を持つ者を責任者として選任することが義務付けられています。

これは、エックス線装置の使用方法を誤ると被曝する危険性があるからです。

エックス線は人類の発展に功績をもたらしました。

一方で核が兵器として人類を脅かすように、過度のエックス線被曝は人体に悪影響をもたらします。

エックス線発生装置を用いる作業者の命を守るために、国は労働安全衛生法に基づいた電離放射線障害防止規則という規則を定めました。

エックス線作主任者はこの規則を把握し、適切にエックス線を使用できる者です。

エックス線主任者免許を持つ者がいない企業は、エックス線装置の使用は違法となります。

エックス線作業主任者の主な職務は下記の通りです。

エックス線作業主任者の主な職務

・管理区域及び立ち入り禁止区域の設定と標識による明示
・照射筒、しぼり及びろ過版の適切な使用
・間接撮影時及び透視時の措置を講じ、放射線を労働者が浴びない様に配慮
・放射線業務従事者の被ばく線量を最小限に抑える
・自動警報装置の点検
・立入禁止区域に労働者が立ち入っていないかの確認
・被ばく線量を測定する放射線測定器の装着に関する点検

つまり、使用者や周囲の従業員の健康と安全を守るために適切なエックス線装置の使用を促すことが、エックス線作業主任者に求められます。

命を預かる重要な職務なのです。

エックス線作業主任者を取得するメリットは?

エックス線を使用する現場には、エックス線作業主任者の選任が義務付けられています。

そのため、工業用の検査や放射線を使う事業所のある会社へ就職する際にアピールできます。

企業によっては資格手当がついたり、昇給したりする場合もあるでしょう。

既にエックス線を使用する現場で働いている人にも、メリットがある資格です。

何よりこの資格を取得することで、エックス線被曝から自分や従業員の命を守ることができます。

万が一被曝してしまうと、皮膚の炎症・脱毛、血液生産の停止、がんの発生など人体に多大な悪影響を及ぼします。

被曝は起こしてはいけない事故であり、それを防ぐ資格を持っている人が現場で1人でも多いことは事故の防止に繋がるのです。

エックス線作業主任者の取得方法は?

エックス線作業主任者の資格をとるためには、安全衛生技術試験協会が実施するエックス線作業主任者試験を受験しなければなりません。

受験条件はたった1つ、満18歳以上であることです。

この条件さえ満たせば誰でも受験可能です。

試験は定期的に行われており、場所は全国7か所にある安全衛生技術センターとなっています。

試験回数は会場によって異なりますが、年に3~6回程度開催されるため忙しい方でも比較的参加しやすいです。

マークシート方式による学科試験のみで、4科目で構成されています。

実技試験がないため、筆記に集中することができます。

合格通知が届き次第、東京労働局長へ交付申請を行うことで免許を取得できます。

また、下記の資格を所有している方は無試験で資格を取得できます。

  • 診療放射線技師
  • 原子炉主任技術者
  • 第一種放射線取扱主任者

これらの資格を利用してエックス線作業主任者になる場合は、住所もしくは勤務地を管轄する都道府県労働局長へ交付申請を行う必要があります。

エックス線作業主任者の難易度は?

受験者数合格率
2020年4,112人53.7%
2019年5,016人63.3%
2018年5,413人56.9%
2017年5,431人53.8%
2016年5,506人51.8%

エックス線作業主任者の合格率は50%程度です。

マークシート形式のため、記述式問題よりも対策がしやすい試験形式となっています。

しかし、問題数が少ないため1問あたりの配点が高く設定されており、数問のミスで不合格になることもあります。

合格ラインは総得点の60%以上、各科目ごとに40%以上の正答率が必要です。

他の国家資格に比べ比較的優しい条件ですが、極端な苦手科目があると苦戦するかもしれません。

基本的に独学

試験内容自体は決して難しいわけではありません。

ただし、専門学校などがないため自分で勉強をすることになります。

自宅で1人で根気よく勉強をすることが苦手な人は、同じように資格勉強をしている人を誘ってみたり、図書館などを利用したりして学習意欲の増す環境を整えることをお勧めします。

過去問をベースにした出題が多いため、過去問を何度も繰り返し解いて解説をよく読むことで正答率を上げることができます。

法律や生体、測定など専門的な知識が必要になるため、専門的な知識がない人には難しく感じるでしょう。

しっかり基礎を学んでから受験することをお勧めします。

計算問題もあるため、限られた時間で焦らず正答を出せるよう練習を重ねると合格に近づけるでしょう。

エックス線作業主任者を活かせる業界は?

エックス線作業主任者はこんな業界で活躍します。

活躍できる業界

・非破壊検査や分析を行う検査会社
・製造業や造船業、重工業、機械設備関連企業
・建築業者
・鋳物メーカー
・貴金属の取扱業者

エックス線が活用される場所は多岐に亘り、それを扱うエックス線作業主任者も様々な業界で求められています。

橋やトンネルなどの老朽化の検査にもよく利用されるため、公共工事の仕事が期待できることは大きな利点です。

鋳物メーカーや貴金属の取扱業者で活躍できることは意外に感じますが、陶器や貴金属の老朽や破損を非破壊で検査するためエックス線は適しています。

なお、医療用のエックス線装置を用いて人体への使用は認められていないため、医療現場への就職に優位にはなりません。

医療用レントゲンは放射線技師、医師、歯科医の資格が必要です。

エックス線はこんな人におすすめ!

エックス線作業主任者の資格はこんな人におすすめです。

  • エックス線装置を使用する現場で働きたい人
  • 現場で働いていて、昇給や資格手当が欲しい人、スキルアップを目指している人
  • 国家資格を取得したい人
  • 無試験で資格を取得できる人(診療放射線技師、原子炉主任技術者、第一種放射線取扱主任者)

活用できる場所が限定的な資格のため、現場で働きたいと考えている人や実際に働いている人におすすめな資格です。

また、比較的難易度の低い国家資格のため、国家資格をとって履歴書に箔をつけたいという人にも人気があります。

実際に取得してみると、その仕事の魅力に惹かれるかもしれません。

無試験にできる資格を所有している場合は、仕事の幅を広げたり、資格手当をもらったりするために役立ちます。

まとめ

エックス線は非破壊検査ができる便利なものです。

一方で、使い方を誤れば人の健康を脅かす恐ろしさもあります。

エックス線作業主任者は、そんなエックス線を使用する現場の人々の健康と命を守る大切な存在です。

18歳以上ならば受験資格があり、難易度も高くないので挑戦しやすい国家資格でもあります。

検査の仕事に興味がある人、実際に現場で働いている人はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。